無題ドキュメント

 あっち側は、こっち側と同じ風景だった。
 特に暗いわけでも、気味悪いわけでもなかった。
 町も、電車も、学校も、
 毎日電車で乗り合わせるサラリーマンも、
 毎日クラスで顔を合わせる友達も、
 何も変わらず、いつもと同じだった。

 ただ、

 あっち側はまるで水の中にいるような感覚で、
 だけど息苦しいわけじゃなく。
 サラリーマンにも、友達にも、
 私の姿は見えてはいないようだった。
 私の声は届かなかった。

 そして私は。
 まるでぬるいお風呂に入っているように、
 あっち側に溶け込んでいて、
 ただ自分が、いつもより大きくなっているように感じた。

 しばらくの間、いつもと同じ、違う風景を眺めた後、
 私は家に帰り、
 自分の家のベットから起き上がった。


 ~ Double Vision ~
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by manikami | 2005-02-16 00:04 | DoubleVision
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